わたし、結婚するんですか?
 




「どうした。
 眠そうだな」

 洸は社内を回っている最中、受付のところで葉山に出くわし、そう言われた。

「ちょっとねー」
と寝不足のせいで、乾いている目を閉じ、言うと、

「課長のせいか」
と言ってくるので、

「課長は静かに寝てるんだけど、チャトランがね」
とうっかり言って、

「……お前、社内でなに言ってるんだ」
と言われてしまう。

「なによ。
 あんたが振った話じゃない」
と言うと、

「普通、なんか誤魔化すと思うだろ。
 なあ」
とそういえば、葉山は受付の女の子に同意を求めていた。

 ……そういえば、彼女も居たな。

 睡眠不足のせいで、視界に入っていなかった、と思い、はは、と笑う。

「大丈夫です。
 なにも聞いてません」
と苦笑いしながらも、受付嬢は言ってくれた。

 そのまま二人で、エレベーターホールへと向かう。
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