わたし、結婚するんですか?
 というか、噛まずに飲めるサイズじゃないような、と思いながら、大きな遥久の手の上のそれを見ていると、

「なにかさっき、話があったんじゃないのか」
と言ってくる。

 さすがだ……と思う。

 まったくこっちを見なかったのに、窺っていたことに気づいていたのか。

「それで来られたんですか?
 その薬は?」
と訊くと、

「ヨーグレットだ」
と言う。

 駄菓子か……。

 どうりで、何処かで見たと。

 此処へ来る理由を作るのに、薬のフリをしたのだろう。

 っていうか、駄菓子なんか食べるのか、この人、と意外に思い、遥久を見た。

「様子がおかしかったが、どうした?」
と訊いてくるので、

「いえ、それが……」
と式場に確認したことを告げると、

「ほう、そうか。
 やはり、式場は押さえてあったか」
と言ってくる。

 なんですか、その他人事っぽい言い方は、と思っていると、
「で、式場は何処なんだ?」
と訊いてきた。
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