わたし、結婚するんですか?
「でも、嬉しかったぞ、洸。
 お前の口から、俺と結婚すると宣言してくれて」

「いや……あれは弾みっていうか」
と言いかけたのだが、間近に自分を見つめる遥久の瞳が、普段の凶悪な言動からは、かけ離れていて、やさしく。

 つい、そのまま見つめてしまう。

 そっと唇が重なりかけたとき、誰かがドアを跳ね上げた。

「洸っ。
 大丈夫かっ?」

 葉山だった。

「えっ? なんで、此処がっ?」
と思わず言うと、

「いや、今、そこで浜崎に会って」
と葉山は言ってきた。

 それを聞いた遥久は洸から手を離し、
「だったら、もう解決したのも知ってるだろうが~」
と葉山の胸倉をつかむ。

「か、課長っ。
 落ち着いてっ」
と止めながら、

 解決って、肝心なとこは解決してないけどな。

 なんか解決したことにしようとしてるな、この人。

 やはり、怪しい、と気づかなくてもいいのに、気づいてしまう。
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