わたし、結婚するんですか?





 意外に考えなしな遥久の今後が心配で、一緒に電車で式場に向かいながら、洸は訊いてしまう。

「大丈夫なんですか? 課長。
 よくこんな態度で、こんな若くして課長になれましたよね?」

「裏がなくていいだろ」
とつり革をつかんでいる遥久は窓の外を見ながら言ってくる。

 いや、自分で言いますかね? と思っていると、
「そこがいいと前社長が言ってくれたんだ。

 なのに、俺が気に食わないと切るのなら、現社長はそこまでの人間ということだ」
といきなり、章浩を切って捨てた。

「ま、あの社長は、前社長が自分のために用意してくれた人事を動かすほどの勇気はないよな」

「……あのー、なんだって、そんなおにーちゃんを目の敵にするんですか?」

「目の敵になんかしてないぞ。
 まあ、恋敵としては、目の敵にしているが。

 自分が人生と魂を捧げて、ついていくに価する上司かどうか、見極めたいだけさ」

 目を閉じ、そんなことを言ってくる。
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