わたし、結婚するんですか?
「ちなみに、嫁もそうして決めた。
 俺が人生と魂のすべてを捧げて、守れる相手かどうか。

 微に入り細に入り吟味して」

 ……本当に微に入り細に入り吟味してそうだ。

 嬉しいけど、ちょっと怖い、と苦笑いしながら、
「あの、ほんとに、おにーちゃんは全然関係ないですからね」
と言ってみたのだが、遥久は頑なに、

「そんなこと思ってるの、お前だけだ」
と言う。

「それから――」
と言いかけ、少し考えた。

 あまり章浩をけなしてばかりでも悪いと思ったのか。

「ま、それだけ、俺も社長を認めてはいるってことだ。

 葉山とか最近、お前の周りをチョロチョロしていても全然気にならなくなったぞ。

 お前が相手にしてないとわかったからな」

 それはそれでどうなんですかね……と思っていると、遥久は窓の外のなにかに視線を奪われていた。

 彼の視線を追うと、闇に沈んだ海にその姿を映す、白いイグレシアが見えた。
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