わたし、結婚するんですか?
「……夜の挙式も良さそうだな」

「そうですね」
と微笑むと、なあ、洸、と遥久が呼びかけてくる。

「結婚しても、会社には内緒にしとかないか」

「ええっ? なんでですかっ?」

 私と結婚したと社内の人に知られたくないからっ? と思っていると、

「結婚したら、呼ばないとうるさい連中が結構居るんだ。
 俺は本当は客は呼びたくない」
と言い出した。

「よ、呼ばないとかありなんですか?」

「最近は多いだろう。
 まあ、お前の家族とうちの家族は呼ばないとまずいだろうが。

 俺は本当は二人でひっそりやりたいんだ」

 月光の下のイグレシアで課長と二人か。

 それも素敵かもしれないけど。

「……やっぱり、私はお祝い事はみんなとしたいです」

 そう言うと、
「そうだな」
と言ったあとで、遥久は苦渋の決断、という顔で言ってきた。
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