わたし、結婚するんですか？

「……なんで式場名知らないんですか」

「お前が言わなかったからだ」

「普通言わないですか？」

「普通、言うだろう」

　どういうことだ、とそこで責められてしまう。

　わ、私が責めていたはずなのに、責められている……。

　私が悪かったのでしょうかね？　記憶はないけど、と小首を傾げる。

　それにしても、そこはかとなく、怪しい。

　この人が……

　いや、私がか？

　洸は遥久を見上げ、訊いてみた。

「私、怪しいですよね」

「怪しいな。
　もしかして、結婚詐欺か？」
と遥久は言ってくる。

　いやそれ、私が訊こうかと思ってたんですけどね、と思いながら、
「私が結婚詐欺など仕掛けても、課長は引っかからないでしょう？」
と言うと、

「……引っかかってるじゃないか、今現在」
と言われた。

　そ、そうなのか……？

「大体、おかしいじゃないか。
　何故、俺の記憶だけが飛ぶ」