わたし、結婚するんですか?
「でも、黒幕が私だと言われたわけはわかりましたよ」
と渋い顔をしながらも、洸は言った。

 犯人は私だった。

 課長を愛するがゆえに、私の被害妄想も暴走していた。

 あえて言うなら、黒幕は私の妄想だ。

 課長はうっかりキスはされたかもしれないが、浮気なんてしていなかったのに。

 でも、不安だよなー。

 こんなに格好いいし。

 今まで誰も好きにならなった私が好きになったくらいだもんなー、と遥久から受け取った花束を握り締め、チラ、と遥久を見上げる。

 おにーちゃんが居たら、
「今度は、俺が社長室のある最上階から突き落とそうか」
と言ってくるところかもしれないが――。






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