わたし、結婚するんですか?
 横から、章浩が、
「寝過ごして飛行機に乗り遅れたんでしょ。
 データ持ってきてるし、もうこっちで仕事しようと思っただけですよね」
と言って、睨まれていた。

「やだー、エリカさんって、津田さんのお母さんだったの?
 私、家建てるとき、エリカさんの椅子見たのよー」

 すみません、高くて買ってません。

 うち、五人家族なんでーと苦笑いして、酒木は言っていた。

「いいのよー。
 でも、今度買ってねー」
とエリカは言っている。

 どうしても、買わせる気か、と思っていると、
「あら、結局、くっついたのね」
と横の遥久を見て言ってきた。

「まあ、あんたには似合いの相手だと思ってたわ」
と言うので、

「いや、お母さんが危険な男だって言ったのよね?」
と確認するように訊くと、

「悪い男だと思うわよ。

 でも、悪い男があんたを幸せにしないなんて言ってないじゃない。

 母親としては、どんな男でも、誰よりあんたを大事にしてくれれば、それでいいのよ。

 あんたにはこの人、合ってると思う」
とエリカは言った。

 お母さん……、最初にそれ、言ってくださいよ……。


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