わたし、結婚するんですか?
「困ったことに、たぶん、一生好きだ。
 飽きそうにもない」

 そう囁き、キスしたあとで、いつの間にか洸の膝に乗っていたチャトランを見、言い出した。

「よし、チャトラン、寝ろ」

 チャトランは毛繕いをしている。

「寝ろ」

 チャトランは無心に毛繕いをしている。

「……可哀想じゃないですか。
 せっかく、くつろいでるのに」

 すると、遥久は洸の背中と腿に手をやり、チャトランに訴える。

「チャトラン、俺がお姫様抱っこしようとしたら、察しろ」

 いや……、猫になんという無茶を。

 だが、それでも退かないチャトランに、遥久は、
「……しょうがないな」
と呟きながら、チャトランごと洸を抱き上げた。

 チャトランはそのまま洸の上で丸くなり、ぐるぐる言っている。

 文句を言いながらも、チャトランを見る遥久の目はやさしい。
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