わたし、結婚するんですか?
 ギューッてしたいぞ、津田っ!

 せめて傘にっ。

 俺の傘に入らないか、津田っ!

 いや、洸っ!

 既に心の中では、名前で呼び捨てていた。

 置き傘にしている折りたたみ傘は小さく、肩寄せ合うようになってしまうがっ。

 一緒に入らないかっ、洸っ!

 心の中では、いや、それ実際に口に出したら駄目だろう、というような願望混じりの言葉で、洸に何度も話しかけていたのだが。

 実際に話しかける勇気はなく、洸はそれ以上、雨に濡れないよう、駅へと走っていってしまった。







< 333 / 368 >

この作品をシェア

pagetop