わたし、結婚するんですか?
 恋する乙女も少々頭がおかしいが、恋する男もかなりおかしい。

 特に深く考えてはいなかった。

 道端で猫を拾わねばな。

 ノートパソコンを打ちながら、遥久は真剣な顔で画面を見つめつつ、考えていた。

 わざわざ買っていったたんじゃ、なんか違う。

 やはり、猫は拾うべきだ。

 そして、洸に話しかけるんだ。

「この猫落ちてたんだ!」
と。

 そう決意すると、どうしていいかわからず、思いつめていた気持ちがふっと楽になり、その日は機嫌よく過ごせた。

 いつもなんとなく目が合うたび、睨んでしまっていた洸にも少しだけ、微笑みかけられた。

 まあ、洸が自分にキスしてきたことを気持ちよく忘れているらしいことが、少々気にはなってはいたが――。






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