わたし、結婚するんですか?
 



「なるほどねえ」

 入江とともに、洸を案内しながら、一真が相槌を打つ。

 パルテノン神殿のような式場には、夜風が吹き渡り、心地よかった。

「三階から落下して目を覚ましてみたら、自分と結婚する予定だったという男と、恋人として、母親に紹介してもらう予定だったという男が居たということですか」

「いいですね」
と入江が言い出す。

「目を覚ましたら、二人も自分に求婚してくる人が居るなんて。

 私も記憶を失ってみたいです」

 いや、そういう問題ではないような……と思っていると、一真が言い出した。

「貴女がどちらと結婚しようとしていたかはわからないですが。
 どちらが恋人だったかはわかるかもしれないですよ」

「えっ?
 ほんとですか?」
と洸が身を乗り出すと、一真は大真面目な顔で、

「二人の前で、半裸でウロウロしてみたらいいですよ。
 動じない方が彼氏です」
と言ってくる。

 えーと……。
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