わたし、結婚するんですか?
 



「すみません。
 先程は、ストーカーではないかなどと申しまして」

 ラウンジで珈琲を出しながら、入江が遥久に謝っていた。

 いや……入江さん。

 そこで、謝らなければ気づかなかったと思いますが。

 こういう人ですから、と思いながら、何故か、洸の方が恐縮して聞いていた。

「まあ、お二人、そろわれてよかったです。
 少しご説明しましょうか」
と新米の入江ではなく、一真がパンフレットを手に、前に座り、言ってくる。

「すみません」
と言いながら、洸は、

 いや、本当にこの人が相手かわからないんですけどね、と思っていた。

 そのとき、若いカップルがラウンジに駆け込んできた。

 担当の人らしき若い男に向かい、
「すみません。
 直前で、言い出しちゃってー」
と言いながら、なにかと紙のCDのようなものを渡している。

「お忙しそうですね」
と一真たちに言うと、

「まあ、一生に一度の大事な日をお任せいただくわけですからね。
 妥協なく、やっていただきたいです」
と笑顔で言ってくる。
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