わたし、結婚するんですか?
 



 パンフレット等をいただき、帰ろうとしたとき、遥久のスマホが鳴った。

 遥久は、チラとそれを確認し、
「ちょっと失礼」
と立ち上がる。

 ……今、見えたの、部長の名前だったな。

 でも、なんか、鳴った瞬間、妙な緊張が走ったような、とロビーの方へと離れながら電話を取る遥久を見ていると、一真が、
「いい感じじゃないですか」
と言ってくる。

「え? なにがいい感じなんですか?」
と振り返ると、

「あの方だと思いますよ。
 津田様の相手。

 お二人で居て、しっくり来るんで」
と一真は言う。

「そう……そうですか?」
と身を乗り出し問うと、いやあ、と一真は笑い、

「でも、ベストカップルだなーと思って見てたのに、式を前に破談になることもありますけどねー」
と言ってきた。

 おーい……、と思っていると、遥久が電話を切って、こちらに戻ってこようとした。

 パンフレットの入った袋を手に、洸も立ち上がりかけて、ふと、気づく。
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