わたし、結婚するんですか?
「すみません。
 私、前回もパンフレット、いただきましたっけ?」

 ああ、と入江が笑って言った。

「差し上げましたよ。
 でも、今回、パンフレット、リニューアルしましたので。

 それと、新郎様にも一部と思いまして」

「でも……ないんですよね、パンフレット」

 何処か奥にでもしまっていれば別だが、この式場のパンフレットを家で見た記憶がない。

 式の打ち合わせ中なら、目に付く場所に片付けてありそうなものなのに。

「どうかしたのか? 洸」
と遥久が訊いてきたとき、洸のスマホが鳴った。

「あ、すみません」
と見ると、母親だった。

「……なんの用だろ」
と思いながら、それに出ると、上海から帰ってくる日程についてだった。

『そういえば、あれ、どうなったの?
 あんた、私に会わせたい人が居るって言ってたけど」

「えっ?」

『いよいよ、結婚?
 するなら、早く言ってよねー。

 こっちにもいろいろ都合があるんだから』
と言われる。
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