わたし、結婚するんですか?
 サバサバしていて、常に行動の早い母は、言いたいだけ言って、じゃあね、と切ってしまった。

 ……会わせたい人が居ると私が言ったのですか、お母さん。

 チラと遥久を見上げる。

 それはこの人なのか?

 それとも――。

『恋人として紹介してくれると言っていたぞ』

 そう言った葉山のことなのか――?

「電話、誰だ?」
と遥久が自分を見下ろし、言ってくる。

「葉山か」

 なんでだ……。

「お母さんです」
とスマホを見たまま言うと、

「何故、かわらない」
と遥久は言い出す。

「えええーっ。
 なんでですかっ?」

「お前のお母さんだろうが、ご挨拶しないと」

 いや、そりゃそうなんですけど……と思いながら、
「も、もう少し、いろいろとハッキリしましたら……」
と言うと、

「既にいろいろハッキリしてるだろうが。
 これ以上、なにをハッキリさせるんだ」
と言ってくる。
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