わたし、結婚するんですか?
遥久を帰したあと、洸は足にまとわりついていくるチャトランに転びそうになりながら、風呂場に向かった。
とりあえず、お風呂に入ろう、と思ったのだ。
なんだか落ち着かないから。
お風呂に入って、ゆっくり寝よう。
眠れるかどうかはわからないが。
そんなことを考えていたら、動揺していたのだろう。
お湯を張りに来たのに、手前の洗面所で歯を磨いてしまう。
鏡に映る自分の顔を見ながら、思っていた。
どきどきはしたけど、確かに初めてではなかったような気がすると。
遥久が自分にキスしてくることが、自然なような。
そんな気が……
と思ったところで、洸は歯磨きをやめ、胸に手をやった。
いや……やっぱり、そんなこともないような。
あの顔が近づくと心臓に悪いし。
結婚しようかっていう恋人同士なら、きっとキスとかされても、もう挨拶くらいな感じなんじゃないだろうか。
こんないつまでも、ドキドキとかしないんじゃないかなー。