恋の神様におまかせ♪*番外編
私の手を握っているのとは違う方の手で、その人の襟首を鷲掴んで至近距離で睨み合う。
「誰だって聞いてんだよ」
「……お前らこそ誰だよ」
今まで一言も喋らなかったその人が、かなりドスの聞いた低い声を出した。
この声、やっぱり……!
涙を拭ってクリアになった視界に写ったのは、思った通り、私の大好きな彼氏の姿だった。
今日もカッコいい……!
殺伐とした空気の中、彼氏、蒼太が現れたことで一気に恐怖心が吹き飛んだ。
「あ?」
蒼太の言葉に少し首を傾げた男の顔面に、蒼太は思いっきり頭突きをかました。
思わず鼻を押さえて後退る男。
その隙に私の腕を引いて、後ろに隠してくれた。
「……てっめぇ」
血走った目で蒼太を睨み付ける男達。
でも蒼太は飄々として全く怖がっていない。
「ぶっ殺す!」
一斉にかかってきたけど、
「稲穂、しゃがんで目塞いでろ」
動じず私に一言そう言った。
私は言われた通りしゃがみこんで、目を……塞ぐふりをして指の間から蒼太の背中を見上げた。