恋の神様におまかせ♪*番外編
「やっ、やだっ!離して!」
「いーからいーから♪」
強く私の腕を引いて、男の人は教室を出ようとしている。
この人や一緒にいた人たちに怯んで、皆はその場で固まっている。
頼みの綱の道島くんは調理班だから今は家庭科室だし……。
腕を振りほどくことも、私の力じゃ出来ない。
誰か助けてよぉ!
怖くて怖くて、泣きそうになった。
その時。
「……あ?誰だてめぇ」
私の手を引いていた人が扉の前で立ち止まって、低い声でそう言った。
瞳に溜まった涙で霞んでいる視界の中、扉の前に立っている背の高い男性らしき人影に目を凝らす。
……もしかして、
「蒼太……?」