呼び名のない関係ですが。
それはそれで恥ずかしいものがあるのだけれど、その感情を隠して彼の髪の毛を緩く引っ張る。
「さっきから、高遠さんの髪がくすぐったい」
「今、一応反省中なんすけど」
「反省ついでに朝ご飯作ってくれたってわけ」
「いえ、そこの商店街で買ってきましたよ。三峰さんちの冷蔵庫何も入ってないし」
「今日、買いに行くんですっ」
ひとの生活能力を疑うような言い方しないでほしい。
定時に帰れないひとり暮らしなのに、食材がいっぱいの冷蔵庫なんて不経済このうえない。
「そんな恰好で怒んないで下さいよ」
高遠さんの胸を押して起き上がると、笑いをおびた彼の視線を感じる。
いつの間にか着せられていたパジャマのボタンがちぐはぐだったらしい。
道理でみぞおちの辺りがスース―するはずだ。
「朝から眼福」と言いながらも、これ以上どうこうする気はないらしい高遠さんの長い指先は器用にボタンのかけ間違いを直す。
「眼福って、これ高遠さんの仕業だよね」
「寒くないようにとりあえず着せたつもりだったんですけどねぇ、なんせ酔ってたんで。……さ、飯食いましょう?」
私の胸元を軽く叩いて、彼はベッドから立ち上がった。
折り目のついた新しいワイシャツを着てる後ろ姿を見て、それも調達してきたのだと気が付いた。
普通のカレカノの関係ならば、着替えくらい置いてあるのかもしれないけれど。
「さっきから、高遠さんの髪がくすぐったい」
「今、一応反省中なんすけど」
「反省ついでに朝ご飯作ってくれたってわけ」
「いえ、そこの商店街で買ってきましたよ。三峰さんちの冷蔵庫何も入ってないし」
「今日、買いに行くんですっ」
ひとの生活能力を疑うような言い方しないでほしい。
定時に帰れないひとり暮らしなのに、食材がいっぱいの冷蔵庫なんて不経済このうえない。
「そんな恰好で怒んないで下さいよ」
高遠さんの胸を押して起き上がると、笑いをおびた彼の視線を感じる。
いつの間にか着せられていたパジャマのボタンがちぐはぐだったらしい。
道理でみぞおちの辺りがスース―するはずだ。
「朝から眼福」と言いながらも、これ以上どうこうする気はないらしい高遠さんの長い指先は器用にボタンのかけ間違いを直す。
「眼福って、これ高遠さんの仕業だよね」
「寒くないようにとりあえず着せたつもりだったんですけどねぇ、なんせ酔ってたんで。……さ、飯食いましょう?」
私の胸元を軽く叩いて、彼はベッドから立ち上がった。
折り目のついた新しいワイシャツを着てる後ろ姿を見て、それも調達してきたのだと気が付いた。
普通のカレカノの関係ならば、着替えくらい置いてあるのかもしれないけれど。