俺様社長の重大な秘密
1.ぽっちゃり新入社員が事件を起こす?!
「…丸岡さーん、この段ボール向こうの資料室に運んでくれる?」

「…はい!わかりました」

入社して早々、先輩が重そうな段ボールを大変そうに抱えていたのが気になって、元から力持ちな幸は、思わず手を貸した。

…それがいけなかった?

それから度々、男性社員が溢れかえるこのオフィスなのにも関わらず、みんな、幸に重い荷物をお願いするようになった。

『丸岡さんが一番頼みやすいから』
『笑顔で引き受けてくれるから』

と言う理由らしいが。

「…流石にこれは重いな」

小さな声で呟き、ヨタヨタしながら、幸は段ボールを運んだ。

「…もう少し…ワッ?!」

背の低い幸が、大きな段ボールを2つも抱えて、前もよく見えてなくて、パンプスが何かに引っ掛かり、豪快に転んだ。

…目の前に、男性社員がいるのにも気づかないまま。

段ボールと共に倒れた幸は、痛い筈なのに痛くない事に気づいたときには、誰かのスーツをを下敷きにしていることにようやく気づいた。

慌てて起き上がった幸は段ボールを押し退けて、相手を揺さぶる。

「…ちょっと!大丈夫ですか?!」

何の応答もない…ピクリともしない。

「…お、重みで殺してしまったかもしれない」

声に出せば恐ろしくなって、幸は何度も声をあげた。

「…お願いだから、目を開けて!」
「…さい」

「…ぅえ?」
「…うるさい女だ。死んでない」

目を開けた男性社員が、むくりと起き上がると、幸を凝視。

幸はただただ頭を抱えた。

怒られる…いや、殺される、かも。
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