俺様社長の重大な秘密
「…今すぐ出ていけ西園」
「…ですが!」

「…さっさとしろ、2度言わせるな」

凄まれてしまい、西園は後ろ髪引かれる思いで秘書室を出ていった。

「…社、社長」

恐くなって、幸の声が震えた。

「…幸」
「…はぃ」

「…自分の立場も忘れ、幸を巻き込み、不安な思いをさせたこと本当にすまないと思ってる」

「…」

「…だが、この立場だからこそ幸を守ることもできる」

思っても見ない言葉に、幸は目を見開いた。

「…異動はさせないし、クビなんてもっての他だ。丸岡幸」

「…は、はい」

「…今日付けで、秘書課に異動。担当は西園と同じ社長秘書として働いてもらう。未経験だろうから、のんびりゆっくり仕事を覚えてもらえばいい。わかったな、幸」

「…」

「…返事は?」

「…名字で呼んでくだされば、頑張ります」

幸の言葉に、楓の眉がピクリと動く。

「…百歩譲って、仕事中だけは丸岡と呼ぶことにする」
「…ありがとうございます。宜しくお願いします」

満面の笑みでそう言えば、楓は思わず幸を抱き締めた。

「…ぎ、ぎゃあぁぁぁぁ!」

幸の悲鳴に驚いて、西園が扉を勢いよく開けた。

「…どうしましたか?!!…ぁ」

西園の目に写ったのは、抱き合う二人。

西園は赤面しつつ、咳払いをすると、またドアを閉めた。
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