俺様社長の重大な秘密
いつの間にか幸の傍に来ていた楓が、幸の二の腕を掴んだ。

「…あの」
「…俺の気持ちもわかってほしい。もう、幸無しじゃ生きていけない」

「…お、大袈裟な」
「…まだ疑うか?」

楓の言葉に、幸は黙りこむ。

嘘だとは思っていない。でも、仕事に支障を来すのは。

「…西園と話をすることですら嫉妬してしまう」
「…社長」

「…だが、幸がそこまで言うなら、西園の所に行くことだけは許す」
「…」

「…だが、話がすんだら、即座に戻れ、いいな?」
「…は、はい」

幸の言葉に、満足が言ったのか、二の腕を離すと、また、デスクに戻り、書類を見始めた楓。

こんなにもストレートに愛情表現されて、幸は正直嬉しかった。

自分に恋の文字が当てはまらないと思っていたから。

…。

仕事が終わった幸は、先に帰宅する事になったのだが、西園にまだまだ仕事を続ける楓に、何か夕飯を買ってきてほしいと言われ、会社を出た。

「…そうだ」

何かを思い立った幸は、早足で向かった。

…どこへ?

「…遅かったですね。…それは?」
「…えっと、家が近いので、夕飯作ってきました。あ、これ、西園さんの分です」

「…えっ、わざわざ?私の分まで」
「…お口に合うといいんですが。あ、お茶もって、これ、社長に渡してきますね」

幸の言葉に、西園はニコッと微笑むと頷いた。
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