俺様社長の重大な秘密
この日を境に、幸の仕事は、とてもいやすい環境に変わった。
わからないことは西園聞きに行けるし、困った顔をしていれば、楓も教えてくれた。
順風満帆、その言葉が今ピッタリと当てはまる。
とは言え、突然の異動、見た目が綺麗なわけでも、仕事が出来るわけでもない幸が、社長秘書になったのだから、面白くないと思う輩が多いのもまた事実。
でも、ここ数日は何事もなく仕事をこなしていた幸に、異変がおき始めたのは、仕事にも結構慣れ始めた一ヶ月が過ぎた頃。
社長に頼まれたものを営業部に持っていき、西園に頼まれた資料を資料室に取りに行ったときのこと。
一階下に降りるだけだと思い、階段を使っていたときのこと、誰かが幸の背中を勢いよく押した。
だが、不幸中の幸いか、幸はたまたま上に上がってきていた男性社員に助けられ、事なきを得た。
「…大丈夫?」
「…はい、すみません、ありがとうございました。助かりました。重かったですよね」
苦笑いしながら幸が言う。
「…そんな事ないよ。…それより」
「…え?」
「…今、誰かが君のこと突き落としたよね?」
男性社員の言葉に、幸は目を見開いた。
「…つまずいただけですよ」
幸の言葉に、相手は信用していない様子。
「…えっと、本当にありがとうございました、仕事があるのでこれで」
幸は逃げるように階段をかけ降りようとした、が。
肩を掴まれ止められた。
「…これ、何かあったら何時でも電話して。相談くらい乗れるから」
手渡され、目を落としたときには彼はいなくなっていた。
手渡されたのは名刺。
同じ会社のシステム部。課長、榊伊織(さかきいおり)と書かれていた。
わからないことは西園聞きに行けるし、困った顔をしていれば、楓も教えてくれた。
順風満帆、その言葉が今ピッタリと当てはまる。
とは言え、突然の異動、見た目が綺麗なわけでも、仕事が出来るわけでもない幸が、社長秘書になったのだから、面白くないと思う輩が多いのもまた事実。
でも、ここ数日は何事もなく仕事をこなしていた幸に、異変がおき始めたのは、仕事にも結構慣れ始めた一ヶ月が過ぎた頃。
社長に頼まれたものを営業部に持っていき、西園に頼まれた資料を資料室に取りに行ったときのこと。
一階下に降りるだけだと思い、階段を使っていたときのこと、誰かが幸の背中を勢いよく押した。
だが、不幸中の幸いか、幸はたまたま上に上がってきていた男性社員に助けられ、事なきを得た。
「…大丈夫?」
「…はい、すみません、ありがとうございました。助かりました。重かったですよね」
苦笑いしながら幸が言う。
「…そんな事ないよ。…それより」
「…え?」
「…今、誰かが君のこと突き落としたよね?」
男性社員の言葉に、幸は目を見開いた。
「…つまずいただけですよ」
幸の言葉に、相手は信用していない様子。
「…えっと、本当にありがとうございました、仕事があるのでこれで」
幸は逃げるように階段をかけ降りようとした、が。
肩を掴まれ止められた。
「…これ、何かあったら何時でも電話して。相談くらい乗れるから」
手渡され、目を落としたときには彼はいなくなっていた。
手渡されたのは名刺。
同じ会社のシステム部。課長、榊伊織(さかきいおり)と書かれていた。