俺様社長の重大な秘密
幸が押さえたところを確認した楓は顔色を変えた。

「…西園今すぐ車を回せ。病院に行くぞ」
「…わかりました」

楓の異様な空気に、西園は走り出した。

「…誰にやられた、幸?」
「…それが、わからなくて」

「…病院行くぞ」
「…え、あ!」

ふくよかな幸を軽々とお姫様抱っこした楓は、車に向かってあるきだした。

「…社長、それで、丸岡さんを守れているつもりですか?」

伊織の言葉が背中にぐさりと刺さった。



病院に着き、手当てを受けた幸。

幸い、怪我は大したことはなく、数日で完治するとのこと。

手当てを終え、楓は幸を連れ、車に戻った。

「…西園、このまま自宅へ」
「…かしこまりました」

『自宅』というから、幸は自分の家に送ってくれるものだと思っていた。

「…社長、ここは」
「…幸の自宅へは帰らせない」

楓の言葉に、目を見開く幸。

「…これ以上、幸を傷つけさせないから。俺の目の届くところにいろ」

楓はそう言って幸の肩を優しく抱いた。

それから幸は、楓のマンションで暮らすことになったのだが、幸は気が気じゃない。

優しい楓に、どう接していいかわからなかった。

…楓はと言うと、日に日に、幸を傍に置き、溺愛した。

それでもそのかたわらで、仕事はこなすし、他にも色々動いていた。
< 24 / 41 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop