俺様社長の重大な秘密
「…ご馳走さま、美味しかったよ」
「…お粗末様でした。これ、片付けてきますね」

お盆にテーブルの上のものを置くと、幸は給湯室に向かってあるきだした。



ガッシャーン。

幸は突然後ろから掴まれ、持っていたお盆を下に落としてしまった。

幸い、下は分厚い絨毯で、コップが割れることはなかった。

が、一体これは何事か。

「…さ、榊さん」

引っ張られ、押し倒された幸。まさか、伊織にこんなことをされるとは。

パニックな頭を何とか回転させ、幸は伊織の名を呼ぶ。

すると、伊織は意味深な笑みを浮かべる。

「…こんなにも信用されるとは思わなかったな」
「…ぇ?」

「…俺は社長に恨みがある」
「…」

「…大事な君をズタズタにしてしまえば、社長はどんな顔をするのかな?」

「…」

幸はパニックになりつつも、何とか頭を回転させる。

「…ごめんね」

伊織の言葉が聞こえたと同時に、バッと、幸は両手を広げた。

伊織は驚いて躊躇った。

「…なっ」
「…いいですよ。好きにすれば」

幸はニコリと笑った。

「…っ」
「…私がどうなろうが、社長はなんとも思いませんよ。…さぁ、どうぞ」


そう言って目をつぶった。

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