俺様社長の重大な秘密
「…まさか、知らなかったとか言うんじゃないでしょうね?」

「…え、えー…ま、さかー」

シドロモドロになる幸を見て、先輩は呆れ気味に、東沢楓についての説明をされた。

代表取締役社長、東沢楓32歳。

185センチ、72キロ。細マッチョな体に、スーツがよく映える。

イケメンの容姿。誰もが認める常に最高の仕事をする楓。

しかしそれを全く鼻にかけることのない好青年で、しかも、独身。

だから、女性たちが躍起になって楓を狙っているとかいないとか。

「…わかった?ここで働くなら、これくらいの事は頭に入れておきなさいよ」

「…終わった」

「…え?どうしたの?」

怪我させたのかな…逆鱗に触れたのかな?

色々考えても何も良いことが思い浮かばない。

唯一、思い浮かんだのは、

「…クビ」

入社したばかりだと言うのに、こんなことでクビなんて。

…結局、仕事が終わるまで、幸は不幸な顔のまま、先輩たちに心配されながら、仕事をこなした。

そして。

ごくり。

最上階にある社長室のドアの前。

意を決してドアをノックした。



「…どうぞ」


地獄の入り口に、幸は入っていった。
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