俺様社長の重大な秘密
「…しゃ、社長、仰る意味が理解できないのですが」

呆気にとられながらも、そう言うと。

「…最近の女は痩せすぎなんだ。細い腕も脚も、俺には必要ない。あんたの体は俺の最上級の理想だ。他に、何処にもいない。…俺の傍にいろ。いや、結婚してくれ」

「…な、何て事を言うんですか?!私はただのデブです。可愛いわけでもないし、痩せてもいない。食べることが好きなだけのその辺にいるデブな方々と何ら代わりはありません。ですから他を「…うるさい!」

ビクッ!!!

言い終わらないうちに、怒鳴られてしまい、幸は肩をすぼめた。

「…デブじゃない。ふくよかなだけだ。可愛い顔してるじゃないか。笑ったらえくぼができるのを見た。食べるのが好き、多いに結構。こんなに食べれなーいとか言う女が大嫌いだ」

…この人は。

…もしや、デブ専?

幸は目を瞬かせ、楓を見る。

こんなに人に誉められたのは、初めてだ。

素直に嬉しい。

幸は、無意識に頬を染めた。

「…丸くて大きな瞳も、その二重も、キレイなプルンとした肌も、申し分ない。だから、結婚しよう」

っ!!

危うく勘違いをしてしまいそうになる。

ハッとした幸は、首をブンブンとふった。

「…容姿はともかく、私の事何も知らないんですよね?訳もわからない女と結婚したら、社長の名前に傷がつきます。ですから他を「…うるさい!」

…また、怒鳴られてしまった。

「…秘書が、お前の部署の先輩から、どんな人なのか聞いたぞ。力持ちで優しくて、細やかで。若干仕事はとろいが丁寧だって。それで充分俺は、理解した。見合いだと思えば良い。俺と結婚しろ、幸」
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