俺様社長の重大な秘密

「…私は社長の事、何も知りません！ですから結婚何て出来ません！諦めてください！」

一気に捲し立てた幸。

一瞬面食らった顔をした楓だったが、次の瞬間には、ニヤッと笑う。

その不適な笑みに、幸はコグリと息を呑む。

「…じゃあ、先ずはお互いを知れば良いんだろう？」
「…」

それには言い返せず。

「…よし、そうと決まれば、即行動」
「…え、あ！ちょっと！」

二の腕を掴んだまま、楓が立ち上がれば、自然と幸も立ち上がらなければならない。

「…帰るぞ」
「…ぁ、帰っていいんですか？ありがとうございます。失礼しま「…バカか？俺と一緒に帰るんだよ」

一瞬意味が理解できず、キョトンとする。

「…俺を知りたければ、共に生活する。他に方法はない」
「…え、えーーーーっ？！」

「…おい西園、帰るから車を裏へ回せ。…え？あぁ、表は幸が目立って嫌だろうから、…頼む」

若干の気遣いにホットしつつも、一緒に住むとか、結婚とか。

そんな話より、クビだって宣告された方が余程良かったと幸は思わずにいられなかった。