臆病者で何が悪い!
prologue
いつからだっけ――。
私が、自分を「女子」というくくりに入れてはいけないような気がし始めたのは。
小学生の時、「おまえ、いっつも偉そう」って男子に言われた時?
中学生の時、男子が誰かを呼び出そうとしているのと目が合って、「おまえじゃねーよ」って言われた時?
高校生の時、もう、自分から男子を異性として見ないようにしていた時?
大学生の時、女子力ゼロの自分の居場所を見つけるために、姉御肌というキャラクターを確立した時?
こう考えると、私のこの性格も振る舞いも、筋金入りだ。
皆に見せている、明るくてサバサバしていて女を感じさせない『内野沙都』という人間は、こうやって何年もかけて作り上げて来た。
人間、日々を生き易くするために、いろいろ知恵を絞る。
これが自分が導き出した答えだ。
ときどき虚しくなることもあるけど、でも、苦しいことばかりじゃない。
人に頼られるのはやっぱり嬉しいし、皆とわいわいやれるのは楽しい。
いじけてつまらなく毎日を過ごすより、笑って過ごせるほうがずっといい。