臆病者で何が悪い!
なんとなく、苦しい。身体も重い。というか、何かが重い――。
瞼をそっと開けてみる。見慣れない景色に、もう一度目を見開く。
あ――。ここは、生田の部屋だ。昨晩、私、生田と――。
私の胸元には、自分のものではない腕が回されている。それも、かなりしっかりと。背中にぴったりと接している身体からは穏やかな鼓動が伝わって来る。裸のまま、私、生田に抱き締められてる。
窓から太陽の光が漏れていて、私の肩を晒す。そのことに、急に恥ずかしさが蘇って来た。恥ずかしさと同時に、胸があったかくなる。行為を終えてもこうして抱きしめてくれていることが、嬉しくて。女にとって、こういうことが幸せってことなのかもしれない。
とは言っても、裸のまま顔を合わすのは、やっぱり恥ずかしい。
生田はまだ寝てるよね――。
背中越しに抱かれている体勢なので、生田の顔は見えない。それが、まだ恥ずかしさを抑えてくれる。
生田が寝ている今のうちに――。
起こさないようにそっとその腕を解いて、服を着て……。
そう思って生田の腕を解こうとしても、びくともしない。
ど、どうしよう……。
裸のままで、このまま生田と向き合うのは、ちょっとムリ。
そっとゆっくり、生田の腕と格闘していると、何故かさらに生田の腕に力が入った。
ちょ、ちょっと、寝ぼけてるの――?
「……何をこそこそやってんの?」
「わっ」
耳元で聞こえた掠れた声に、身体が跳ねあがった。