臆病者で何が悪い!


「お、起きた?」

「起きてた」

「じゃあっ」

腕を解いてくれれば!

「何を一生懸命してるのかなって、見てたら面白くて」

「そんな意地悪――」

「だって、意地悪したくなる」

「腕、離して」

「やだね」

何を思ったのか、生田が、潰されるんじゃないかというほどの力で抱きくるめて来た。

「い、生田っ」

「今日、日曜。そんな急いで起きる必要もない」

抱き合った後、こんな風にベッドの中でゆっくりしていたことなんてなくて。裸のままの身体が心許なくて、どうしていいのか分からなくなる。

「でも、裸、だし」

「だから、離したくない」

な、何を――!

「……こっち、向いて。沙都の顔見たい」

そう言うと、私の腰を抱き、くるっと身体を反転させた。

「きゃっ。ちょっ」

「見えた」

生田の横たわる顔が真正面に来る。何ですか、その殺人的に甘い顔は――!

前髪が横に流れて、切れ長の目が細められている。

「顔、赤いな」

「そ、そりゃあ」

「可愛いな」

「か、可愛いとか、言わないでよ」

「なんで? 可愛いものを可愛いと言って何が悪い」

長い指が私の頬に伸びる。しみじみと確かめるように触れるから、私はもう生田の目をみていられない。

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