臆病者で何が悪い!
それからは、同期みんながいつも以上に興奮して、大騒ぎの会となった。
生田さん。いくらなんでも悪ふざけが過ぎませんか……?
私は、この先もきっと、生田には敵わない――。
最後は、同期みんなに笑顔で送り出された。ただ一人を除いてーー。
「生田がついてるんなら、大丈夫だな。捨てられないように、ちゃとしろよ」
「桐島君、なんで泣きそうになってるのよ……」
『運』から出た時に、桐島がそんなことを言って来て。それを見ていた希が笑う。
「泣いてなんかない。断じてない。ただ、本当に良かったと思ってるだけだ」
「桐島……」
せっかく笑って終われそうだったのに、もらい泣きしてしまいそうになるじゃないか。そんな私の横に、生田がそっと寄り添うよに立った。
「絶対にこいつのことは幸せにするから。心配するな」
「内野のくせに、イイオトコつかまえやがって」
「悪かったわね」
就職したての新人の頃から、憎まれ口を叩き合いながらもいつも一緒に幹事をやって、同期を盛り上げて来た。それで、少しは名残惜しく思ってくれているのかもしれない。
「じゃあ、沙都、お幸せにね」
「ありがとう」
最後は京子もそう言って笑ってくれた。
「沙都、絶対ニューヨークに遊びに行くから。待っててね」
希が私の手を握って真剣なまなざしをくれる。
「それまで、絶対に帰って来ちゃだめだからねっ」
「希……。ありがと」
こうして、同期のみんなとのお別れを済ませた。