臆病者で何が悪い!
「俺の気持ちが少しは分かるか? 俺も、おまえと同じように心配してんだよ」
「私……?」
おまえ以外に誰がいるんだ。
腕の中で素直にじっとしている沙都の髪をゆっくりと撫でる。
「だから。前から言っているように、私、女を感じさせないんだって。こんな風に心配したりしてくれるの眞だけなんだから。私にとっては、もう、本当に凄いこと。眞みたいに、イイ男が、私をこんな風に……」
「『こんな風に』何?」
「あ……愛してくれるの、未だに不思議に思うことあるし……」
バカめ。そんな可愛いことを言って、今日はおとなしく眠ろうと思っていたのに。
煽って、俺の欲望を目覚めさせてどうする。
「だからね、他の女性に出会って、眞が我に返ったらどうしようって。『世の中にはこんなにいい女がいたのに』って……」
「おまえは、本当に分からない奴だな」
今度は、きつくその身体を抱き寄せる。
その力の分で、俺の想いを分からせるため。
「――分かってる。ちゃんと眞の想いは分かってるよ。でも、ふとね。そんなことを思う時があるってだけ」
「まあ、人を好きになるとどうしたって不安になるってことは、俺も嫌って言うほど思い知ったから。おまえも、不安になるだけ俺のことを好きでいてくれてるってことなんだよな」
お互い同じだってことか――。
それはつまり、結局幸せってことだ。
「今度のパーティーで、俺たちの仲睦まじさを見せつけてやろうか」
「ば、ばかっ」
「俺は、バカだよ。おまえだって、もう分かってるんだろ?」
この身体、抱き潰してしまいそうだな。
「男は好きな女の前では、みんなバカになるんだよ。おまえも、そろそろ溺愛されることに慣れて」
「そんなの、慣れるわけないよ……」
「沙都は、最高だって言ってるんだ」
「きゃあっ」
沙都の首筋に唇を当て、強く吸う。
「だから、誰にもやらない。俺のもの」
そして、また別の場所に唇を這わせた。
俺の所有印をそこら中につけてやる。