臆病者で何が悪い!
「今ある幸せが、繋がっていく。それが未来だから」
左手薬指に指輪をはめた沙都の手のひらをぎゅっと包み込む。
「今の幸せが繋がっていく――。そうだね。そうなんだよね」
沙都も溢れんばかりの笑みをくれた。
「俺たちが出会ったこと、こうして二人でいることは、多分、決まっていたことなんだ。だから、大丈夫。俺とおまえは大丈夫だ。なんの根拠もないけどそう確信できるよ」
不思議だけれど、本当にそう思える。
「そうだよね。私たち、夫婦だし。もう家族なんだもんね」
包み込んでいた手のひらに指を絡ませて、手を握る。
「そうだ。かけがえのない家族になったんだ」
そして、沙都を見下ろした。
「寒くなって来たし、帰ろうか」
「うん」
この先、ずっと隣にいて。
今の沙都も、少し老けた沙都も、おばあちゃんになった沙都も、その変化のすべてを俺は隣で見ていたい。
そうできる俺の未来は、幸せそのものだ。
いつも、傍に――。
宝物がそこにある。
【2、おわり】