臆病者で何が悪い!



「それって、もしかして」


口ばかりがパクパクとして上手く喋れない。


「うん。私たちの赤ちゃん。妊娠したって。実は、昨日病院に行って来てたんだ」

「そんな素振り、全然……」


何?
昨日?

どんだけポーカーフェイスなんだ!

ツンデレどころの騒ぎじゃない。


「うん。早く言いたかったんだけど、一日待てばバレンタインデーだなって思って。それで、耐えてた」


いやいやいや、そこは言えよ!

もはや、バレンタインデーなんてどうでもいい。


「眞、嬉しい……?」


そんなの――。


「嬉しいに決まってるだろ? 俺は今、驚き過ぎてどうリアクションを取っていいか分からなくなっているだけだ」


って、おい。

こんな泡風呂なんかに入っている場合なのか?


急に我に返る。


「沙都、もう出るぞ! 本当に悪い。こんなところに連れ込んで。おまえの身体にもしものことがあったら俺は、死んでも死にきれない。早く出よう。いや、待て。裸のままじゃ冷えるな。ここで待ってろ。俺が、タオルを持ってくるから――」

「ちょっと、落ち着いて。眞、落ち着いてよ。妊婦だってお風呂くらい入るでしょう? 大丈夫だから」


腕をがっしりと掴まれて、沙都に諭される。


「そ、そうか……。そうだな」

「仕事じゃ、あんなに冷静沈着なのに」


そう言って、沙都がぷっと笑った。
その笑顔は、輝くほどに幸せそうだった。


「嬉しすぎて、正気じゃいられない」


俺はもう一度沙都の身体を抱きしめる。
今度は、そっと包み込むように。


「最高の贈り物だ」

「私にとってもね」


ああ、やばい。

こんなに幸せでいいのだろうか。

でも――。また、俺はいろんな心配に苛まれることになる。



【ホントに本当の終わり!】



眞、ちょっと壊れてますね。
すみません💦

ここまでかなりの長編でしたが、お付き合いくださり、本当にありがとうございます!!










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