臆病者で何が悪い!
「そんな風に偉そうに説教してるけど。生田だって、恋愛では子供みたいなことしてるじゃん」
ニヤリとしながら生田に詰め寄る。希のことだ。好意を持っているくせに、いや、持っているからこそ、あんな風に憎まれ口叩いちゃって。
「なんの話だよ」
おっ、ちょっと顔色が変わった?
ここは責め時だと判断し、もう少し追い詰めることにしてみた。
「小学生じゃないんだから、意識して上手く話せないからってあんな風にきついこと言っちゃダメ。ただ誤解されて終わるだけだよ? 生田の気持ちなんて察してくれないよ?」
「何、言ってんの?」
「いいっていいって。今日、私の話を聞いてくれたお返しに私も相談に乗るからさ。言ってごらん? 希のことなら私、よく知ってるよ」
希、今は彼氏いないし。生田はもともとカッコいいんだし、その態度を改めれば可能性がないわけじゃない。
「希って、一体、何を……」
最初は訝し気に、でも次第に心底バカにしたような目で私を見て来た。
「照れない、照れない。生田って、実はそんなに悪い人じゃないって分かったし、生田になら大事な希を託してもいいかなって思えるよ。だから、喜んで協力する!」
テーブルの上にあった生田の手を握り締めてこの思いの丈を伝える。でも、思いっきり振り払われた。
「あんた、正真正銘のバカだな。勝手に言ってろ」
そう吐き捨てると、生田は立ち上がりさっさと行ってしまった。
「生田?」
「もう帰るぞ」
慌てて立ち上がるも、足元がグラグラとして咄嗟にテーブルに手をついた。
やばい……。これはヤバい。身体がフラフラする。力の入らない身体が崩れないように、テーブルで身体を支える。