臆病者で何が悪い!
「知ってるでしょ? 生田にも話したよね? 元カレの話も大学時代の男友達の話も。『沙都のこといいなと思ってる』って言ってくれてキスもそれ以上のこともした元カレでさえ、実際は私のことなんて好きでもなんでもなかった。物心ついた時から、私のことを好きだった男なんていないのよ」
思い出せばイタイ出来事ばかりで、こうして口にもしたくないのに。
「誰一人、私を女として扱った人はいない。誰からも選ばれなかったんだよ? そんな私が、簡単に他人の行動に意味なんて持たせられると思う? みんなにとっては普通のことでも、私には全然普通のことじゃない。誰かに思われたり付き合ったり、そういうのすごく特別なこと。そんな特別なことを自分なんかに当てはめられるわけがない」
こんなことを生田に言って、何の意味があるのか。分からないけれど、止まらなかった。
「もう勘違いして傷付いたりしたくないの。そう思うことがダメなこと? せめて傷付かないようにって、そうやって考えて生きることが唯一自分を守って、笑って暮らせる術なの。こんな私の気持ち、生田みたいな人に分かるわけない――っ!」
最後は何を言っているのか分からなくなった。話の脈絡もどこかに行ってしまっていた。ただ、興奮して。
だけど、そんな私を生田が突然抱きしめた。興奮してどうにもならない動物をなだめるように