臆病者で何が悪い!
「もう分かったよ。悪かった。全部、俺が悪かった」
生田の声は、酷く苦しそうだった。それでも、生田の腕は興奮して震える私を包み込むようで。その腕の力は痛いほどで、泣きたくなる。
「ごめん。あんたの話聞いていたのにな。少しは分かっていたつもりだったのに、本当の意味では分かっていなかった」
そう言うと、生田がさらにぎゅっと私を抱きしめる。私はもう何も言う力は残っていなくて、ただじっとその腕の中にいた。
「――俺も怖かったんだ。怖くて、はっきりとした言葉を口に出来ないでいた。俺も傷付きたくなくて言えずにいたのにあんたを責めるなんて、卑怯な男だよな」
頬に触れる生田のスーツの上着が酷く冷たい。どれだけ、外で待っていたのだろう。興奮した私を冷ましていく。生田の冷たさと、鼓動とが私を包み込む。不意にその鼓動が遠ざかると、生田の顔が真正面に現れた。肩を強く掴まれて、真っ直ぐに私の目を見ている。
「好きだよ。男としてあんたに惚れてるって意味で」
私はただ、瞬きをするのも忘れてその生田の目を見つめる。その目に吸い込まれるように、視線を逸らせない。でも怖いのだ。その言葉を信じてしまいそうで、怖くて――。怖いと思った瞬間、また視界が暗くなった。
「絶対に傷付けたりしない」
再び抱きしめられたのだと気付く。今度は生田の胸は温かかった。
「――だから、何も考えずに俺の女になっとけよ」
背中にある生田の手が心なしか震えているような気がした。
「そうしろ」
それは、私が震えているせいなのか、本当に生田の手が震えていたのか。そんなことを考えていたはずなのに、私の身体は生田の腕の中で勝手にこくんと頷いていた。