そうだ、鏡は異世界に通じているらしいよ
釣り具……いやいや違う。文房具……これでもない。

……ならあの時見えた光は何?

それからももう少し探していたけれどそれが何か分からず、諦めて店を出ようとした時だった。


「そうだ結月ちゃん、昨日ね、女の子向けに1つだけ仕入れたものがあるのよ!」

おばあちゃんが快活な声で私を呼び止める。仕方なく私は足を止めた。

「えっと……何ですか」

「うふふ、今日初めて店に来た年頃の女の子に売ってあげようと思ってたの……」

そう言いながらおばあちゃんは、店の窓側の方へぱたぱたと駆けてゆく。私はただ出入り口の近くで立ち尽くしていた。






やがて戻ってきたおばあちゃんの手にあったのは、入鹿の彫刻が施された青い指輪だった。
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