そうだ、鏡は異世界に通じているらしいよ
「あ……」

これだ、と思った。

言わずもがな、さっきの光の正体がである。

おばあちゃんの手に握られているそれは、窓から差し込む眩しいほどの光を受けてキラキラと輝いていた。

「ここよりもっと南の方に住んでるおばあちゃんの知り合いの手作りなんだけどね、すっごく綺麗でしょ?」

はい、綺麗です、と自然にそんな言葉が零れた。

「150円で売ってあげるわよ~、きっと結月ちゃんに似合うから!」

本当に気まぐれだったのだが、欲しい…そう思った。

制服のポケットを探ると、入っていたのは212円。




「買います、おばあちゃん」

「まいど!」







……そう、入鹿さんを買ったのはそんな経緯だった。

まさか付喪神になって、人の形をとるなんて夢にも思ってなかったけどね。
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