そうだ、鏡は異世界に通じているらしいよ
「……結月様?」

入鹿さんの心配そうな声でハッと我に帰った。

「あぁ、すみません」

彼を買った経緯をふと思い出していたのだが、どうしても龍さんの正体も気になってしまって。

「ぼーっとしてまして……」

ははは、と乾いた笑いを漏らすと、入鹿さんが見るからに顔を顰めた。


「そうやってすぐに謝るの、止めてください、結月様」

「……え」

「僕ら付喪神たちは、貴女を主としています。貴女がよっぽど非人道的な人物でない限り、何を言われても従うんですよ」

主が臣下に直ぐに謝るのは変でしょう?と入鹿さんは続けた。

「それと!僕は結月様の持ち物なんですから、さんも敬語も要りません!」

「えっああ…えっと……うん、分かった」

そう言われては仕方がない。かなりぎこちないが、彼へもっとフランクな態度で接する事にした。

すると入鹿くんはにっこりと笑う。
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