そうだ、鏡は異世界に通じているらしいよ
「結月様!」

龍さんがある部屋の前に到着し、障子を開けた瞬間、何かが私に飛びついてきた。

ふわっとした青い髪。服装は水平隊にいそうな感じだ。マリン!という感じである。

「あーもう入鹿、時間なら、いくらでもあるんだから」

くつくつと龍さんが笑う。中学生くらいだろうか、どうやらこの少年の名前は入鹿と言うらしい。

…そう言えば。

「龍さんは、何の付喪神なんですか」

その質問をした瞬間、龍さんの笑顔があの胡散臭いモノへと変わる。

「入鹿は指輪の付喪神だよ。きみが中学生の頃、港の雑貨屋で買ったヤツ。入鹿の模様が掘ってあったでしょ」

「いやあの、私は入鹿さんじゃなくて……」

「まぁまぁ細かいことはいいじゃないですか、結月様。他のみんなも中で待ってますし、早く行きましょう!」

なんだか入鹿さんも目の奥が笑っていないような気がする。

言い知れぬ恐怖感を覚えたが、龍さんと入鹿さんに引っ張られるまま私は部屋へと入っていった。
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