そうだ、鏡は異世界に通じているらしいよ
部屋はやっぱり広くて、幻想的な雰囲気を醸し出していた。縁側から紅い満月が覗いている。
龍さんと入鹿さんを除いて、そこには4人の美青年がいた。
一斉にこちらを見つめられると何だか萎縮してしまう。
「……はぁ…とりあえず、自己紹介した方がいいよね。俺達はアンタの事で知らない事は無いけど、アンタは俺たちの事なんて全く知らないだろうから」
部屋の端で目を伏せていた濃紺の髪色の長髪の男性が言った。私と同年代くらいに見える。
「ああ、そのほうが今後様々な事が円滑に進むだろうな」
黒髪の短髪の男性も彼に同意した。
濃紺の髪の男性が小さく頷き、口を開く。
「僕の事は春とでも呼んで。ちなみに栞の付喪神。アンタは結構な読書家みたいで、よく僕を使ってくれてたよ。春の花を押し花にした、あの栞」
「……栞」
ここまで来れば、龍さんの『龍』という名前はもしかすると偽物なんかじゃなくて本物なのだろうと薄々察し始めていた。彼らはモノ。名前など存在しないのが正解なのだ。それが突如人の身を取ったから、急遽自分の特徴から命名したのだろう。
続いて黒髪の男性が言う。
「俺の名前は剣。お前が誕生した時、社交辞令でお前の親戚から送られた短刀の付喪神だ」
記憶があった。幼稚園児の頃、母親から無理矢理押し付けられた覚えがある。こんなもの生活の足しにもなりゃしないと怒鳴られて。捨てるのも忍びなかったし、何より美しい輝きを宿していたのであれ以来部屋の奥で大事に保存していた。
残りの二人に目を向ける。
さて、彼らの正体は一体。
龍さんと入鹿さんを除いて、そこには4人の美青年がいた。
一斉にこちらを見つめられると何だか萎縮してしまう。
「……はぁ…とりあえず、自己紹介した方がいいよね。俺達はアンタの事で知らない事は無いけど、アンタは俺たちの事なんて全く知らないだろうから」
部屋の端で目を伏せていた濃紺の髪色の長髪の男性が言った。私と同年代くらいに見える。
「ああ、そのほうが今後様々な事が円滑に進むだろうな」
黒髪の短髪の男性も彼に同意した。
濃紺の髪の男性が小さく頷き、口を開く。
「僕の事は春とでも呼んで。ちなみに栞の付喪神。アンタは結構な読書家みたいで、よく僕を使ってくれてたよ。春の花を押し花にした、あの栞」
「……栞」
ここまで来れば、龍さんの『龍』という名前はもしかすると偽物なんかじゃなくて本物なのだろうと薄々察し始めていた。彼らはモノ。名前など存在しないのが正解なのだ。それが突如人の身を取ったから、急遽自分の特徴から命名したのだろう。
続いて黒髪の男性が言う。
「俺の名前は剣。お前が誕生した時、社交辞令でお前の親戚から送られた短刀の付喪神だ」
記憶があった。幼稚園児の頃、母親から無理矢理押し付けられた覚えがある。こんなもの生活の足しにもなりゃしないと怒鳴られて。捨てるのも忍びなかったし、何より美しい輝きを宿していたのであれ以来部屋の奥で大事に保存していた。
残りの二人に目を向ける。
さて、彼らの正体は一体。