キミが可愛いわけがない
「手、まだ完治してないじゃん」
「…別に、もう痛くもかゆくもないし」
「嘘。授業中、ちょっと痒そうにしてる」
「…っ、」
有馬に嘘を見破られたことと無意識に手を掻いていたことを見られてたのが、恥ずかしくなって、プイッと顔を晒す。
「なにその顔─────」
「…っ!!」
「…可愛いんだけど」
「ひっ!」
バッと顔を近づけてきた有馬にびっくりして、思わず声がでる。
無駄に顔が近いのよ!!!
このチャラ男が!!!
「…こう言うの、本当迷惑だからやめてよ」
小声で有馬を叱る。
できるだけ「男」と関わりたくない。
女の子たちに嫌われたくないから。
「…あいつ、幼なじみなんだな」
へ?
「楠木。柚希の幼なじみなんでしょ?」
まっすぐこちらを見てそう言った有馬。
なんでまたそんなことこいつの口から…。
「そ、そうだけど…」