キミが可愛いわけがない
あんまり言いたくなかったけど、変にはぐらかすとおかしな方向に話がいっちゃいそうだから仕方なく正直に話した。
「…なんで、知ってんの?」
「柚希の友達から聞いた」
「…っ、」
まったく、かよたちったら余計なことを…。
「バーベキューの日、救護室からバスに戻る時にちょうど楠木とすれ違ってさ」
「……」
「すっげー心配した顔で柚希のところ目掛けて走ってた」
芽郁が私を心配して走る顔なんて、なんとなく想像がつく。
有馬はなんでこんな話いちいちしてくるの。
「柚希のことすごい大切にしてるんだなって分かったよ」
「…まぁ、芽郁は私がいなきゃポンコツだからね」
「…好きなの?」
「へ?芽郁のこと?好きだけど」
「……いや、あの…」
ん?
有馬が急に口ごもりだした。
なんなのよ。自分で聞いておいて…。
「そうじゃなくてさ────」
っ?!
有馬は突然私の肩を寄せると、
「…男としてどうなのか聞いてんの」
っ?!
そう言って耳打ちした。