キミが可愛いわけがない
「あ〜私咲菜になりたいっ!」
私は自分のショートボブを乱暴にくしゃくしゃっとしてからそういう。
「え、私はユズちゃんになりたい!」
「それ本気で言ってるの…」
「うん!本気だよ!ユズちゃんは優しいから誰からも好かれる」
「そんなことないし!この間言ったじゃん。中学で嫌な思いしたって。優しいんじゃなくてズルいだけだよ」
「私は…優しくなくて卑怯だよ」
「咲菜…?」
階段を降りて2階に着いた時、咲菜が足を止めたので顔を除く。
すごく悔しそうな顔。
「あ、ごめん!なんでもないっ!」
ブンブンと首を振ってそう答えた咲菜に私はそれ以上聞くことはしなかった。