キミが可愛いわけがない


「なにあれ腹立つ〜〜!!!」


突っ立ったままのメガネくんを目の前に、思わず心の声が出てしまった。


「ユ、ユズちゃんっ?!」


「絶対あいつら遊ぶじゃん!ねぇ!」


私はメガネくんをみてそう聞く。



「へっ!あ……えっと…ごめんなさい。階段涌田くん…あの人たちが遮って…。僕がこんなところで呼び止めちゃったから…」



はい?メガネくんなんも悪くないでしょーよ!


「そんなこといいよ!いつもあんな感じなの?あいつら」


「え、あ、いや…なんていうか」


初対面の女先輩に話しかけられて戸惑うめがねくん。


あんなの無視できないよ。


「先生とかに相談した方が────」


「本当にすみませんっ!僕は大丈夫なので。今日のことは忘れてくださいっ!」


「え、ちょっと!!」


メガネくんは突然頭を下げて謝ると、逃げるようにして教室のある廊下をめがけて歩いて行った。



< 117 / 238 >

この作品をシェア

pagetop