キミが可愛いわけがない
「なにあれ腹立つ〜〜!!!」
突っ立ったままのメガネくんを目の前に、思わず心の声が出てしまった。
「ユ、ユズちゃんっ?!」
「絶対あいつら遊ぶじゃん!ねぇ!」
私はメガネくんをみてそう聞く。
「へっ!あ……えっと…ごめんなさい。階段涌田くん…あの人たちが遮って…。僕がこんなところで呼び止めちゃったから…」
はい?メガネくんなんも悪くないでしょーよ!
「そんなこといいよ!いつもあんな感じなの?あいつら」
「え、あ、いや…なんていうか」
初対面の女先輩に話しかけられて戸惑うめがねくん。
あんなの無視できないよ。
「先生とかに相談した方が────」
「本当にすみませんっ!僕は大丈夫なので。今日のことは忘れてくださいっ!」
「え、ちょっと!!」
メガネくんは突然頭を下げて謝ると、逃げるようにして教室のある廊下をめがけて歩いて行った。