キミが可愛いわけがない





「嫌がらせとか受けてたから余計ああいうのは見ると腹立つんだよね」


ケーキバイキングにやってきた私と咲菜は、さっき遭遇してしまったメガネくんのことについて話す。


「ユズちゃんって、自分のことになると一気に消極的になるのに、人のことになるとすごく熱くなるよね…」



そう言って咲菜がチーズケーキをパクッと口に入れた。


あぁ、なんかそうかも。


自分のことになるとすごく考えすぎたり怯えたりするけど、それが他人のことになると途端に冷静に判断できたりしてしまう。



「傷ついたことがあるから、その時に自分が言われたかったことを同じ状況になった人に言えたり上手に助けたりできるのかもね。私は基本、他人は他人自分は自分って考え方だから、ユズちゃんのそういうところにはすごいなって思うよ」


「いやいやいや…」


「だから、好きになるんだろうな」


「え?」


「いや、ううん!なんでもない!ほら元取るためにいっぱい食べるよー!」


「咲菜、意外とよく食べるんだね」


「フフッ。実は食べることが1番好き」


あぁ、可愛い。


可愛い子が美味しそうにケーキを頬張る姿は世界を平和にするよ。



咲菜が私に近づいてきた理由って…。


やっぱり芽郁が目的だったりするのかな。


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